私は自他ともに認めるブヨの好物で、これまで幾度となくその牙に泣かされてきました。一緒にいる友人が一箇所も刺されない横で、私だけが両足を二十箇所も噛まれ、象のように腫れ上がったことも一度や二度ではありません。しかし、その苦い経験を重ねる中で、私はブヨに刺されやすい人の特徴を身をもって理解し、それを逆手に取った独自の防衛術を確立してきました。まず私が気づいたのは、自分の足元の冷えと、それを補おうとする体表温度の上昇のアンバランスです。足先が冷えていると自覚している時ほど、身体は末端の血流を増やそうとし、それがブヨにとっての熱源として目立ってしまうのです。そこで私は、夏場でも足首を露出せず、あえて登山用の厚手の靴下を履くようにしました。これにより物理的な防御だけでなく、熱の放射を一定に保つことができるようになりました。次に、食事の影響を痛感した出来事がありました。前の晩に焼き肉とビールを心ゆくまで楽しんだ翌朝の登山では、驚くほどブヨが私だけに集まってきました。それ以来、山へ行く三日前からは、ニンニクやニラなどの刺激物、そしてアルコールを一切断つようにしています。自分の身体から出る匂いを可能な限りニュートラルに保つことが、どんな高級な虫除けスプレーよりも効果的であることを学びました。また、血液型がオー型であることも、私の宿命として受け入れています。オー型の人は蚊にも刺されやすいと言われますが、ブヨに対してもその傾向は強いように感じます。この体質は変えられませんが、皮膚を清潔に保つために、山行中もこまめにボディシートで汗を拭き取り、常在菌による匂いの発生を抑えることで、ある程度の誘引を阻止できることが分かりました。服装についても、黒を基調としたかっこいいアウトドアスタイルは卒業し、全身をベージュや薄いグレーで固めるようにしました。鏡に映る姿は少し地味になりましたが、ブヨの執拗な追跡から解放される喜びには代えられません。さらに、ハッカ油をベースにした自作の強力な忌避剤を、首元や帽子の裏、靴下に定期的につけ直すことも欠かしません。ブヨに刺されやすいという特徴は、私にとって自然界からの厳しい警告のようなものでした。しかし、その特徴を一つずつ分析し、対策を講じていく過程で、私は自分の身体のバイオリズムをより深く理解できるようになりました。今では、かつての天敵だったブヨも、自分の体調や準備の不備を教えてくれるバロメーターのような存在にすら思えます。刺されやすい性質を嘆くのではなく、それを理解して賢く立ち回ること。それが、ブヨに愛されすぎる私がたどり着いた、自然と共生するための最終結論です。
ブヨに刺されやすい私が学んだ防衛の知恵