DIYでのキクイムシ駆除は、手軽である一方、その効果には限界があります。では、どのタイミングで自力での対処に見切りをつけ、専門の駆除業者に助けを求めるべきなのでしょうか。その見極めは、被害の拡大を防ぎ、家の資産価値を守る上で非常に重要です。プロに依頼すべき明確なサインは、いくつかあります。まず、第一のサインは、「被害の再発・拡大」です。自分で殺虫剤を注入するなどの処置を行ったにもかかわらず、数週間後、あるいは数ヶ月後に、同じ場所や、あるいは全く別の場所から、新たに木くずが出てきた場合。これは、DIYでの駆除が失敗し、木材の内部で幼虫が生き残り、成長を続けている動かぬ証拠です。もはや局所的な対策では追いつかない、深刻な状況に陥っていると判断すべきです。第二のサインは、「被害範囲の広さ」です。キクイムシの虫孔や木くずが、一部の家具やフローリングだけでなく、家の複数の部屋、あるいは柱や鴨居といった建具にまで及んでいる場合。これは、被害が家全体に広がっている可能性を示唆しており、素人が全体像を把握し、対処することは不可能です。家の構造を熟知したプロによる、広域的な調査と駆除計画が必要となります。第三のサインは、「貴重品への被害」です。高価なアンティーク家具や、思い出の詰まった木製の調度品、あるいは楽器などが被害に遭った場合。これらの代替のきかない大切なものを、リスクを冒して自分で処置するよりも、専門家の確実な技術に任せる方が、賢明な選択と言えるでしょう。そして最後に、何よりも重要なのが、「あなた自身の精神的な限界」です。毎日、家のどこかから木くずが出ていないかと怯え、大切な家が蝕まれていくストレスに耐えられなくなった時。その精神的な負担から解放されるためにも、プロの力を借りるべきです。これらのサインを見逃さず、適切なタイミングで専門家にバトンを渡す決断をすること。それが、長期化する戦いに終止符を打つための、最も賢明な選択なのです。