家の中で黒い粒状の物体を見つけた時、「これはいったい何だろう?」と不安になることは少なくありません。それがねずみの糞なのか、それともゴキブリやコウモリといった他の生き物のものなのかを正確に見分けることは、適切な対策を講じる上で非常に重要です。まず、ねずみの糞は、その家に侵入しているねずみの種類によって特徴が異なります。日本家屋でよく見られる代表的なねずみは三種類です。最も一般的な「クマネズミ」の糞は、六ミリから十ミリ程度の大きさで、細長く、動きながら排泄するため、広範囲に散らばっていることが多いのが特徴です。色は茶色や灰色がかった黒色をしています。一方、「ドブネズミ」の糞は、十ミリから二十ミリと一回り大きく、太くて丸みを帯びています。一か所にまとまって落ちている傾向があります。そして、最も小さい「ハツカネズミ」の糞は、四ミリから七ミリ程度と米粒ほどの大きさで、両端が尖っているのが特徴です。次に、よく間違えられるのが「ゴキブリ」の糞です。ゴキブリの糞は、一ミリから二ミリ程度と非常に小さく、黒い粒状で、コーヒーの粉のようにザラザラしています。壁や家具の隅に点々と付着していることが多いです。そして、屋根裏などで見つかる可能性があるのが「コウモリ」の糞です。大きさは五ミリから十ミリ程度でねずみの糞と似ていますが、大きな違いはその脆さにあります。コウモリの糞は昆虫の外骨格が主成分のため、指で軽くつまむとパサパサと簡単に崩れます。一方、ねずみの糞は水分が抜けても比較的硬いままです。これらの特徴を観察することで、ある程度の判断が可能になります。もし、見つけた糞が散らばっていて細長い形をしていればクマネズミ、まとまっていて太ければドブネズミの可能性が高いと言えます。正体不明の黒い粒は、家のどこかに望まざる同居人がいるサインです。その正体を突き止めることが、問題解決への第一歩となります。